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政策・法規制

「AI新法」施行で中小企業はどう変わる?今すぐ始めるべき「記録」と「ルール作り」

AI政策中小企業リスク管理AI新法コンプライアンス
AI編集部

ラクタノ AI編集部

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2026年1月現在、多くの企業で生成AIの活用が当たり前になりました。それに伴い、昨年(2025年)施行された通称「AI新法」への対応について、多くの中小企業経営者様からご相談をいただいています。

「法律が変わったから何か難しいことをしなければならないのか?」

「ウチのような小さな会社でも対応が必要なのか?」

そんな不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。結論から申し上げますと、中小企業に求められているのは「高額なシステム導入」ではなく、「足元のルール作りと記録」です。

今回は、AI新法および関連ガイドラインに基づき、中小企業が「今、何をすべきか」をわかりやすく解説します。

概要:AI新法とは何か?

2025年に成立・施行された「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(通称:AI新法)」は、AI技術を安全かつ安心して社会で活用するための基本ルールを定めた法律です。

この法律と、ベースとなっている経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン」が中小企業に求めている核心は、「AIを適切に管理(ガバナンス)し、利用記録を残すこと」にあります。

一律に厳しい規制をかけるのではなく、リスクの大きさに応じて柔軟に対応する方針が採られており、中小企業に対しては「自主的な取り組み」を促す内容となっています。つまり、「法律でガチガチに縛る」というよりは、「安全に使うための作法を守りましょう」というスタンスです。

AI新法の背景にある政府の指針や、中小企業が法的なリスクを抑えてAIを活用するための「セーフハーバー・ルール」については、過去記事2026年施行予定「AI基本法」で何が変わる?中小企業が知っておきたい「守りの新ルール」で詳しく解説しています。

背景:なぜ今、対応が必要なのか

生成AIの登場以降、業務効率は飛躍的に向上しましたが、同時に「情報漏洩」や「著作権侵害」のリスクも懸念されるようになりました。

日本政府は2024年4月に「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を公表し、企業に自主的な対応を求めてきました。そして2025年、AIの利用が社会インフラとして定着する中で、より明確な法的根拠を持たせるためにAI新法が施行されました。

この流れは、企業を監視するためではなく、「企業が安心してAIを使える環境(法的な予見可能性)」を整えるためのものです。適切なルールがあれば、万が一トラブルが起きた際にも、「私たちはルール通り適正に使っていました」と証明しやすくなるからです。

ポイント解説:中小企業が押さえるべき3つの要件

AI新法およびガイドラインにおいて、中小企業が特に意識すべきポイントは以下の3点です。

1. 責任者の明確化

社内に「AI管理責任者」を1名決めることが求められています。これは、高度な技術者である必要はありません。

  • 誰にする?: 社長や総務部長など、既存の役職者との兼務で構いません。
  • 何をする?: 「AI利用で困ったときの相談窓口」となり、社内の利用状況を把握する役割です。

2. 社内ルールの策定

従業員が迷わず使えるよう、文書化されたルールが必要です。

  • 重要: 「個人の判断」に任せないこと。
  • 内容: 「個人情報や機密情報は入力しない」「AIが作った文章や画像は、必ず人間がチェックする」といった基本的な事項を定めます。

3. 利用記録(ログ)の保存

ここが最も実務的なポイントです。「どのAIに、どんな指示(プロンプト)を出し、どんな回答が返ってきたか」を記録として残すことが推奨されています。

法規制への対応と並行して、自社の業務に最適なAIツールを選定し、安全に導入を進めるための手順については、過去記事【個人事業主向け】月5,000円で「週5.5時間」の自由を作る!サービス業のためのAI活用ロードマップで具体的なステップを紹介しています。

企業への影響:なぜ「記録」が会社を守るのか

「罰則がないなら、やらなくてもいいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、今回の対応は「自社を守るため」に必須のアクションです。

リスク回避の「お守り」になる

例えば、自社がAIを使って作成した広告画像が、他社の著作権を侵害していると訴えられたとします。この時、AI新法やガイドラインに沿った対応をしていれば、有利に働く可能性があります。

  • 記録がない場合: 「注意を怠った(過失)」とみなされ、損害賠償請求のリスクが高まります。
  • 記録がある場合: 「指示文(プロンプト)には『既存の作品に似せないように』と書いてある」「生成後に人間がチェックした記録がある」といった証拠を出すことで、「やるべき注意は払っていた」と証明(立証)しやすくなります。

具体的に取るべきアクション

明日からできる具体的な対応は以下の3ステップです。

1A4用紙1枚のルールを作る

分厚いマニュアルは不要です。「入力禁止事項」と「確認フロー」だけを書いた簡易ガイドラインを作成し、全社員に周知しましょう。

2「全文」ログを残す

AIツールの利用履歴は、要約ではなく「全文」で保存するのが原則です。Microsoft Formsやスプレッドシートを活用し、「いつ・誰が・どんな指示で・何を出力したか」を記録する習慣をつけましょう。最低でも1年、できれば3年以上の保存が望ましいとされています。

3補助金の活用

IT導入補助金」などを活用し、セキュリティ機能がついた法人版AIツール(入力データが学習に使われないもの)を導入するのも賢い選択です。

今後の見通し

AI技術は日々進化しており、それに合わせてルールもアップデートされていくでしょう。政府は今後も、中小企業のAI活用を後押しするために、ガイドラインの改訂や支援策の拡充を行う見込みです。

今回のAI新法への対応は、単なる法令遵守にとどまりません。取引先に対して「ウチはAIを安全に管理して使っています」と胸を張って言えることは、企業の信頼性(ブランド)を高める大きな武器になります。

まずは「責任者を決める」「ログを残す」という小さな一歩から、AIガバナンスを始めてみてはいかがでしょうか。

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