ラクタノ AI編集部
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政府は2026年1月6日、生成AIを悪用した権利侵害(特に性的ディープフェイク等)の急増を受け、対策を抜本的に強化する方針を明らかにしました。
「うちはIT企業じゃないから関係ない」と思っていませんか?
実はこの動き、AIツールを業務で利用するすべての中小企業にとって、無視できない重要な転換点となります。今回は、政府の発表内容を噛み砕きながら、経営者がどのように自社���守り、対応していくべきかを解説します。
概要
一言で言えば、「AIの『活用推進』だけでなく、『安全と責任』を厳しく問うフェーズに入った」ということです。
政府はこれまで、AI技術の発展を妨げないよう「ソフトロー(自主的なガイドライン)」を中心としてきましたが、被害の深刻化を受け、法的拘束力のある「ハードロー(法律による規制)」への移行を視野に入れ始めました。具体的には、2026年1月から実態調査を行い、プラットフォーム事業者への削除義務付けや、AI利用者への責任明確化を進めていく方針です。
背景
なぜ今、規制強化なのでしょうか?背景には技術の急激な進化があります。
かつては高度な技術が必要だった画像や音声の合成が、現在ではわずか数秒のサンプルがあれば誰でも簡単に作れるようになりました。これにより、著名人だけでなく一般市民、さらには未成年者が被害に遭うケースが急増しています。
政府はこの状況���重く見ており、2025年9月に施行される「AI法」の運用指針を具体化しつつ、さらに踏み込んだ対策が必要だと判断しました。これは、AIを安全に使うための「交通ルール」を、より厳格に定める動きだと言えます。
ポイント解説
今回の方針と関連する動きについて、中小企業が押さえておくべきポイントは以下の3点です。
1. 「プラットフォーマー」と「利用者」の区別
今回の規制強化でまず焦点となるのは、SNSや掲示板などを運営する「プラットフォーム事業者」です。削除対応の迅速化などが求められます。
一方で、業務でChatGPTなどの生成AIを使っているだけの中小企業は「AI利用者」に該当します。直接的な削除義務の対象ではありませんが、「何を入力し、何を出力したか」という利用責任は、これまで以上に重くなります。
2. 「AI事業者ガイドライン」の重要性
政府は2024年4月に「AI事業者ガイドライン」を策定しています。これは、AIを使う企業が守る��き基本ルールブックです。
- 個人情報を不用意に入力しない
- AIが作った文章や画像が、誰かの権利を侵害していないか確認する
これらは今後、単なる「推奨事項」から「当たり前の義務」として扱われるようになります。
3. 技術的な対策(電子透かし等)
「この画像はAIで作られました」と判別できる技術(電子透かしやOriginator Profileなど)の導入が推奨されています。今後、企業がAIツールを選定する際は、こうした安全対策機能がついているかどうかが、選定基準の一つになるでしょう。
企業への影響
では、中小企業は具体的にどう対応すればよいのでしょうか。法律の専門家でなくてもできる、現実的なアクションは以下の通りです。
社内ルールの明確化
まず、「AI利用ガイドライン」を社内で作りましょう。難しく考える必要はありません。
- 入力禁止データ: 「顧客名簿や未発表の新製品情報はAIに入力しない」
- 禁止用途: 「他人を傷つける表現や、差別的な内容の生成には使わない」
これらを明文化し、従業員に周知するだけで、立派なリスク管理になります。
「人の目」による確認(Human-in-the-loop)
AIが作った文章や画像を、そのまま自社のWebサイトやSNSに投稿するのは避けましょう。必ず担当者が内容を確認し、「嘘が含まれていないか」「誰かの権利を侵害していないか」をチェックするプロセス(これを専門用語でHuman-in-the-loopと呼びます)を業務フローに組み込んでください。
もしもの時の相談先を知っておく
自社がAIによる被害に遭った場合、あるいは意図せず加害者になってしまった場合に備え、相談先を把握しておきましょう。
- 警察庁サイバー犯罪相談窓口(#9110)
- 法務省「みんなの人権110番」
今後の見通し
政府のロードマップでは、以下のような流れが予想されます。
- 〜2025年9月: 自主的な取り組みの期間。今のうちに社内体制を整えることが推奨されます。
- 2026年以降: 新たな法規制(ハードロー)の検討・導入が本格化。
2026年以降は、AIに関するトラブルが発生した際、「ガイドラインを守っていたか」が企業の法的責任を問う大きな判断材料になる可能性があります。
規制強化と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、これは裏を返せば「正しく安全にAIを使っている企業」が評価される時代になるということです。今のうちからコンプライアンス(法令遵守)体制を整えておくことは、将来的な法的リスクを下げるだけでなく、取引先や顧客からの信頼獲得にもつながります。
まずは自社のAI利用状況を振り返り、小さなルール作りから始めてみてはいかがでしょうか。
情報元
- 「soumu.go.jp」 【公式】
- 「trendmicro.com」
