
ラクタノ AI編集部
AIを活用して毎日最新情報をお届けしています
この記事でわかること
- ものづくり補助金(第23次)でAIシステム開発が補助対象になる条件
- リフォーム業が「革新的な新サービス開発」として採択されるための事業計画の立て方
- AI図面読取×自動見積システム(図面ヨミトリ)の技術概要と革新性
- 具体的な経費の積み上げと補助金シミュレーション
- 申請スケジュールと準備すべきこと
そもそも「ものづくり補助金」とは?
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)は、中小企業・小規模事業者が革新的な新製品・新サービスを開発するための設備投資等を支援する国の補助金です。
第23次公募が2026年2月6日に開始され、4月3日から電子申請の受付が始まります。
省力化投資補助金との違い
「補助金でAIシステムを導入したい」と考えたとき、候補になるのは省力化投資補助金とものづくり補助金の2つです。目的が大きく異なります。
| 比較項目 | 省力化投資補助金 | ものづくり補助金 |
|---|---|---|
| 目的 | 人手不足解消のための省力化設備の導入 | 革新的な新サービスの開発と設備投資 |
| 求められるもの | 省力化の効果(時間削減) | 革新性・独自性のある新サービス |
| 審査の重点 | 省力化効果の数値根拠 | 技術の革新性・市場優位性・事業化見込み |
| 補助上限 | 750万円〜1億円 | 750万円〜2,500万円(+賃上げ特例) |
| 補助率 | 1/2〜2/3 | 1/2〜2/3 |
| 人手不足の証明 | 必要 | 不要 |
つまり、ものづくり補助金では「AIで業務が楽になる」だけでは不十分。「AIを活用して、顧客に新たな価値を提供する革新的なサービスを開発する」という事業計画が求められます。
第23次公募の概要
スケジュール
| イベント | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年2月6日(金) |
| 電子申請受付開始 | 2026年4月3日(金)17:00 |
| 申請締切 | 2026年5月8日(金)17:00 |
| 採択発表 | 2026年8月上旬頃(予定) |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日から10ヶ月 |
補助上限額と補助率
申請枠は「製品・サービス高付加価値化枠」を使います。
| 従業員数 | 補助上限額 | 大幅賃上げ特例適用時 |
|---|---|---|
| 1〜5人 | 750万円 | 最大850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 最大1,250万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 最大2,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 | 最大3,500万円 |
| 事業者区分 | 補助率 |
|---|---|
| 中小企業(建設業:資本金3億円以下 or 従業員300人以下) | 1/2 |
| 小規模企業者(建設業:従業員20人以下) | 2/3 |
リフォーム業者の多くは従業員20人以下の小規模企業者に該当し、補助率2/3が適用されます。
なぜ「AI図面読取×自動見積」がものづくり補助金に適しているのか
ものづくり補助金で採択されるための3つの条件
公募要領には、以下の条件が明記されています。
AI図面読取×自動見積が「革新的な新サービス」である理由
リフォーム業界における見積作成の現状は、次のようなものです。
【従来の見積プロセス】
図面を目視で確認 → 電卓で面積計算 → 単価表を手引き → Excelに手入力 → 上長チェック
(2〜3時間)→(4〜6時間)→(3〜4時間)→(2〜3時間)= 合計 12〜18時間/件
このプロセスは数十年間ほぼ変わっていません。汎用の見積ソフト(ANDPAD、Kizuku等)は存在しますが、図面から工事項目と数量を自動で読み取り、自社の単価マスタと照合して見積書を自動生成するシステムは、2026年現在、リフォーム業界には存在しません。
ここに「革新性」があります。
技術的な革新ポイント: Agentic Vision
このシステムの中核技術は、Gemini 3 Flash の Agentic Vision(2026年1月発表)です。
従来のAI画像認識は「画像を1回見て結果を返す」静的な処理でした。Agentic Visionは根本的に異なります。
| 従来のAI画像認識 | Agentic Vision(Think-Act-Observe) |
|---|---|
| 画像を1回パスで処理 | AIが自らコードを書いて繰り返し分析 |
| 小さい寸法数値は読み落とす | 自動ズーム: 不鮮明な箇所を検知→拡大→再読取 |
| 傾いた図面に弱い | 自動回転補正: 傾きを検知→補正→再解析 |
| 面積計算はAIの「推定」 | 確定的計算: Pythonで寸法値から正確に算出 |
| OCRサービスが別途必要 | 単一モデルで完結 |
Think-Act-Observeループとは、人間の設計者が図面を見る時のプロセスをAIが再現するものです。
[Think] 「1/50縮尺の1階平面図。6つの部屋がある。解析計画を策定」
[Act-1] Pythonコードで図面全体の構造を解析 → グリッド分割、寸法線検出
[Observe-1] 解析結果を自己検証 → 「右下の寸法数値が不鮮明。ズームが必要」
[Act-2] 不鮮明な領域を自動で拡大して再読取 ← ここが革新的
→ 右下領域を2倍にクロップ、再度解析
[Act-3] 全ての寸法値をPythonで検算
→ 各部屋の面積を width × depth で確定的に計算
→ 全体面積と各部屋合計を突き合わせ
[Observe-2] 最終検証
→ 「全体85.4㎡に対し各部屋合計82.1㎡。差分3.3㎡は廊下・収納で妥当」
このプロセスにより、従来のAIでは読み取りミスが避けられなかった図面でも、人間の設計者と同等以上の精度で数量を拾い出せます。
ベンチマーク: OmniDocBench 1.5で 0.121 edit distance(GPT-5.1の0.147、Claude 4.5の0.145を大幅に上回る)
「新サービス」としての位置づけ
このシステムは、単なる社内効率化ツールではありません。リフォーム業者が顧客に提供するサービスそのものを変革します。
| 従来のサービス | AIシステム導入後の新サービス |
|---|---|
| 見積回答まで5営業日 | 即日〜翌営業日に回答 |
| 見積内容が担当者の経験に依存 | マスタデータに基づく一貫した品質 |
| 見積改訂に2営業日 | その場で即座に改訂・再計算 |
| 概算見積は「感覚」で提示 | 図面に基づく根拠ある概算を即提示 |
| 過去の類似案件は記憶頼り | AIが類似案件を自動検索・参照 |
「図面をアップロードするだけで、30分以内に根拠ある見積書が出る」 — これは、顧客にとって従来にない新しい価値です。
補助金の経費シミュレーション
補助対象となる経費区分
ものづくり補助金では、「機械装置・システム構築費」が必須経費です(単価50万円以上)。それ以外の経費は合計500万円が上限です。
ケース1: 従業員5人以下の小規模リフォーム会社
| 経費区分 | 内容 | 金額(税抜) |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | Agentic Vision図面解析エンジン開発 | 220万円 |
| 機械装置・システム構築費 | 自動積算・見積生成モジュール開発 | 200万円 |
| 機械装置・システム構築費 | フロントエンド(ダッシュボード・ビューア)開発 | 160万円 |
| 機械装置・システム構築費 | インフラ構築(Cloud Run + Cloud SQL + Storage) | 55万円 |
| 専門家経費 | 要件定義・設計の技術専門家 | 100万円 |
| 専門家経費 | テスト・品質検証の専門家 | 55万円 |
| 専門家経費 | 導入支援・研修 | 60万円 |
| クラウドサービス利用費 | GCP・Gemini API利用費(補助事業期間分) | 28万円 |
| 外注費 | セキュリティ診断・脆弱性テスト | 30万円 |
| 原材料費 | テスト用図面データの準備・デジタル化 | 10万円 |
| 合計 | 918万円 |
機械装置・システム構築費以外の合計: 283万円(500万円上限以内)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 補助対象経費合計 | 918万円 |
| 補助率(小規模企業者) | 2/3 |
| 算出補助額 | 612万円 |
| 補助上限額 | 750万円 |
| 補助金交付額 | 612万円 |
| 自己負担額 | 306万円 |
ケース2: 従業員6〜20人の中規模リフォーム会社
ケース1に加え、以下を拡充:
| 追加経費 | 内容 | 金額(税抜) |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | メーカーカタログ自動読取機能の追加開発 | 80万円 |
| 機械装置・システム構築費 | 類似案件AIベクトル検索機能 | 60万円 |
| 外注費 | 過去案件50件分のバックテスト実施 | 50万円 |
| 専門家経費 | AI精度向上のプロンプトチューニング | 40万円 |
| 追加合計 | 230万円 | |
| 総合計 | 1,148万円 |
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 補助対象経費合計 | 1,148万円 |
| 補助率(小規模企業者) | 2/3 |
| 算出補助額 | 765万円 |
| 補助上限額(6〜20人) | 1,000万円 |
| 補助金交付額 | 765万円 |
| 自己負担額 | 383万円 |
事業計画書に書くべきこと
ものづくり補助金の事業計画書はA4サイズ5ページ以内。審査項目に沿って、以下を明確に記載する必要があります。
審査項目1: 補助対象事業の適格性
- 新サービスの内容: AI図面読取×自動見積による「即日見積サービス」の開発
- 革新性: Agentic Vision(Think-Act-Observeループ)による能動的図面解析は、リフォーム業界で初の試み
- 業界で普及していないこと: 汎用見積ソフトに図面自動読取機能を持つものは存在しないことを具体的に示す
審査項目2: 革新性
- 従来技術との比較: 手作業による図面読取 → AI自動読取の定量的な比較
- 技術的優位性: Agentic Visionのベンチマーク結果(OmniDocBench 0.121)
- 顧客への新たな価値: 見積回答5営業日→1営業日の劇的なスピード改善
審査項目3: 優位性
- 自社の技術力: AI開発パートナーとの連携体制
- 競合との差別化: 汎用見積ソフトとの機能比較表
- 参入障壁: 自社の単価マスタ・工事実績データとAIの組み合わせによる独自性
審査項目4: 実現可能性
- 開発体制: AI開発パートナー(ラクタノ等)+ 自社の業務知見の融合
- 開発スケジュール: 7ヶ月の段階的開発計画(要件定義→設計→AI開発→アプリ開発→テスト→導入)
- 資金計画: 自己負担分の調達見込み
- 費用対効果: 年間コスト削減額618万円(保守的試算)、投資回収期間約11ヶ月
審査項目5: 政策面
- 先端的なデジタル技術の活用: Gemini 3 Flash Agentic Vision(2026年最新AI技術)
- 地域経済への波及効果: 見積スピード向上による受注増 → 地域の協力会社(職人)への発注増
- 持続的な賃上げ: 残業削減+受注増による利益向上を原資とした賃上げ計画
基本要件の達成計画
ものづくり補助金の採択後、以下の数値目標を3〜5年で達成する事業計画が必要です。未達の場合は補助金返還義務があります。
要件①: 付加価値額の年平均成長率 3.0%以上
| 年度 | 営業利益 | 人件費 | 減価償却費 | 付加価値額 | 成長率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 基準年度 | 500万円 | 3,600万円 | 200万円 | 4,300万円 | — |
| 1年目 | 700万円 | 3,700万円 | 380万円 | 4,780万円 | +11.2% |
| 2年目 | 900万円 | 3,850万円 | 350万円 | 5,100万円 | +6.7% |
| 3年目 | 1,100万円 | 4,000万円 | 320万円 | 5,420万円 | +6.3% |
AI導入による受注増(年間10件増 × 平均180万円 = 1,800万円の売上増)と残業削減によるコスト改善で、年平均成長率3.0%は十分に達成可能。
要件②: 1人あたり給与支給総額の年平均成長率 3.5%以上
| 年度 | 給与支給総額 | 従業員数 | 1人あたり | 成長率 |
|---|---|---|---|---|
| 基準年度 | 3,600万円 | 8人 | 450万円 | — |
| 1年目 | 3,700万円 | 8人 | 462.5万円 | +2.8% |
| 2年目 | 3,850万円 | 8人 | 481.3万円 | +4.1% |
| 3年目 | 4,000万円 | 8人 | 500万円 | +3.9% |
| 3年平均 | +3.6% ✓ |
残業代削減(月30万円 → 年360万円のコスト改善)を原資とした基本給の引上げで達成。
要件③: 事業所内最低賃金を都道府県最低賃金+30円以上
- 自社所在地の都道府県最低賃金を確認し、+30円以上の水準を維持する必要あり
- 例: 最低賃金が1,076円の地域 → 1,106円以上に設定
- 毎年の最低賃金改定に合わせて見直しが必要
導入後の効果予測
省力化効果
| 業務 | 導入前(月間) | 導入後(月間) | 削減時間 |
|---|---|---|---|
| 図面読取・拾い出し | 37.5時間 | 3時間 | ▲34.5時間 |
| 積算作業 | 75時間 | 6時間 | ▲69時間 |
| 見積書作成 | 52.5時間 | 3.75時間 | ▲48.75時間 |
| 見積改訂 | 12時間 | 0.8時間 | ▲11.2時間 |
| 合計 | 177時間 | 13.55時間 | ▲163.45時間/月 |
年間約1,960時間の省力化。営業3名+設計1名の見積業務を92%削減。
コスト削減効果
| 項目 | 月間削減額 |
|---|---|
| 残業代削減(営業+設計) | 30万円 |
| スピード負けによる失注の回復(月2件) | 90万円 |
| 赤字工事の回避(精度向上) | 12.5万円 |
| 月間合計 | 132.5万円 |
| 年間合計 | 約1,590万円 |
見積回答スピードの改善
| 指標 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 問い合わせ → 見積提出 | 5営業日 | 1営業日 |
| 見積改訂 | 2営業日 | 即日 |
申請までのスケジュール
申請締切は2026年5月8日(金)。逆算すると、以下のスケジュールで準備が必要です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 今すぐ | GビズIDプライムアカウントの取得申請(発行に数週間) |
| 3月上旬 | AI開発パートナーとの打ち合わせ、見積書の取得(2者以上の相見積) |
| 3月中旬 | 事業計画書の素案作成、認定経営革新等支援機関への相談 |
| 3月下旬 | 事業計画書の確認書を金融機関 or 認定支援機関から取得 |
| 4月上旬 | 事業計画書の最終仕上げ、提出書類の準備 |
| 4月3日〜 | 電子申請受付開始 |
| 5月8日 | 申請締切(17:00厳守) |
| 8月上旬 | 採択発表(予定) |
採択発表後、交付申請 → 交付決定を経てから発注・契約が可能になります。交付決定前の発注・契約・支払いは一切補助対象外です。
よくある質問
Q. うちは従業員3人の小さなリフォーム屋ですが、申請できますか?
申請できます。 建設業で従業員20人以下は「小規模企業者」に該当し、補助率は最も有利な2/3です。従業員5人以下の場合、補助上限は750万円となります。ただし、常時使用する従業員が最低1人は必要です(代表者のみの場合は対象外)。
Q. 既存の見積ソフトを使っていますが、乗り換えになりますか?
併用可能です。 本事業で開発するのは「AI図面読取→自動見積生成」という新しいサービスの仕組みであり、最終的な見積書の出力はExcel/PDFで行います。既存の見積ソフトとの連携も設計次第で可能です。
Q. 省力化投資補助金と両方申請できますか?
同一経費での二重受給は不可です。ただし、別の経費・別の取組であれば、異なる補助金を活用すること自体は可能です。なお、申請締切日を起点にして16ヶ月以内にものづくり補助金の採択を受けた場合、次回の省力化投資補助金等への申請に制約が生じる場合があります。事前によく確認してください。
Q. パソコンやタブレットの購入費用は補助対象ですか?
原則対象外です。 パソコン・タブレット・スマートフォンは「汎用性があり、目的外使用になり得るもの」として、公募要領に補助対象外の例として明記されています。
Q. 23次の賃金要件が厳しくなったと聞きましたが?
はい。 22次までは「給与支給総額の年率平均成長率1.5%以上」でしたが、23次からは「1人あたり給与支給総額の年率平均成長率3.5%以上」に変更されています。「1人あたり」に変わったため、従業員を増やしても分母が増えて達成しやすくなる面はありますが、率が3.5%に引き上げられた点は注意が必要です。
まとめ — ものづくり補助金でリフォーム業のDXを加速する
ものづくり補助金の本質は「革新的な新サービスの開発」です。
AI図面読取×自動見積システムは、単なる業務効率化ツールではなく、リフォーム業の顧客体験を根本から変える新サービスの開発プロジェクトとして位置づけることができます。
- 「図面をアップロードするだけで即日見積」という顧客体験の革新
- Agentic Vision(Think-Act-Observe)という最先端AI技術の活用
- 業界初のサービスとしての優位性
補助率2/3(小規模企業者)で、自己負担300万円台からAIシステムの開発に着手できます。
電子申請の受付開始は4月3日。準備は今から始めましょう。
この記事の内容は、2026年2月時点の第23次公募要領に基づいています。最新の情報はものづくり補助金公式サイトでご確認ください。
「うちでも申請できる?」「AI図面読取システムの開発費はどのくらい?」といった個別のご質問も承っています。補助金の専門家「補助金の窓口」と連携して、申請書類の作成から採択後のフォローまでワンストップでサポートします。


