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就業規則はAIで作れる?社労士と分業する改定手順

経営×AI労務就業規則法改正対応
AI編集部

ラクタノ AI編集部

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何が起きているか

2026年9月25日、「士業AI」にて、就業規則の改定に生成AIを活用する実践手順を解説したコラムが公開されました。

現在、労働関連法制の大規模な見直しが続いています。2025年12月に公表された厚生労働省の「モデル就業規則」改訂や、2026年10月に施行が予定されている「同一労働同一賃金」の開示義務強化などへの対応が求められています。また、2025年1月の厚労省研究会報告書を受け、「14日以上の連続勤務禁止」や「勤務間インターバル制度」などの法制化議論も加速しており、常時10人以上の従業員を雇用する事業場では就業規則の改定が急務となっています。

中小企業庁等の調査によると、AIを業務利用する企業のうち、就業規則に「AI利用ルール」を反映済みなのはわずか7.8%にとどまります。一方で、ChatGPTやClaudeなどの生成AIを用いて就業規則の改定作業を行うことで、改定工数が約60%削減される事例が増加しています。AIに一次ドラフトを作成させ、最終的な確認を専門家が行う分業体制が注目を集めています。

経営にとって何が変わるか

就業規則の改定は、経営者や管理部門にとって負担の大きい業務の一つです。これまでは、自社の現行規程と厚労省のモデル就業規則、あるいは新しい法律の条文を並べ、目視で見比べながら手作業で新旧対照表を作成していました。この作業には数時間から数日を要するのが一般的でした。

しかし、生成AIを活用することで、このプロセスは大きく変わります。自社の規程とモデル就業規則をAIに読み込ませ、差分の抽出と新旧対照表の生成を指示すれば、手作業で数時間かかっていた対照表の作成が10〜15分程度に短縮されます。結果として、最大90%の業務工数削減が期待できます。

この手法は業種を問いません。プロンプト(AIへの指示文)の中に「自社の運用方針」という変数を設けることで、多様な働き方に対応できます。たとえば、製造業であれば「交替勤務」、小売業やサービス業であれば「変形労働時間制」といった自社の勤務実態を入力することで、それぞれの業態に沿った改定案のたたき台を作成できます。

経営者にとっての最大のメリットは、社労士などの専門家とのコミュニケーションが円滑になる点です。ゼロから専門家に依頼するのではなく、自社で「AIが作成した新旧対照表」と「法改正への準拠などの改定理由書」を用意しておくことで、専門家は法的適合性のチェックに集中できるようになります。

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明日からの一手(3 つ)

就業規則のAI改定に向けて、小さく始められる具体的な手順を3つ紹介します。

1. 現行就業規則のテキスト化とマスキング

  • 使うツール: Microsoft Wordなどの文書作成ソフト
  • 操作手順: まずは自社の現行規程と厚労省の「モデル就業規則」をテキストデータ化します。その際、従業員の個人名や具体的な給与額などの情報は、「従業員A」「X万円」のように置き換え(マスキングし)ます。
  • 所要時間: 約30分

2. 法人向け生成AIの導入とテスト出力

  • 使うツール: ChatGPT Team / Enterprise、Claude、Geminiなどの汎用生成AI
  • プロンプト例:

「以下の『現行の就業規則』と『厚労省モデル就業規則』を比較し、条番号のズレや文言の差分を一覧化した新旧対照表を作成してください。また、各変更箇所について、その変更理由(法改正への準拠など)を簡潔に記載してください。

【現行の就業規則】(テキストを貼り付け)

【厚労省モデル就業規則】(テキストを貼り付け)」

  • 所要時間: 約1時間
  • 費用感: 1ユーザーあたり月額3,000円〜4,500円前後(約25〜30ドル)

3. 専門家との「AI分業体制」の構築

  • 使うツール: 電話やメール、Web会議ツール
  • 操作手順: 顧問社労士に対し、新しい運用フローを提案します。「自社で汎用AI、またはKiteRa BizやHRbase(2026年2月に就業規則チェック機能リリース)などの労務特化型AIを用いて一次ドラフトと要確認リストを作成するので、社労士には法的チェックのみを依頼したい」と相談し、役割分担を合意します。
  • 所要時間: 約1時間

注意点と専門家に確認すること

AIは強力なツールですが、万能ではありません。AIにすべてを任せるのではなく、人が介在し、専門家が最終確認を行う体制(ヒューマン・イン・ザ・ループ)が不可欠です。

まず、AIの「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」に注意が必要です。AIに丸投げすると、育児・介護休業法などの最新法制が反映されていない旧法ベースの条文が出力されることがあります。自社の実態と乖離した規定が無批判に適用されると、労使紛争に発展する恐れがあります。

また、情報管理の観点から、個人情報保護委員会が求める安全管理措置を遵守する必要があります。従業員名や病歴などの要配慮個人情報をそのまま入力する事故を防ぐため、事前のマスキングを徹底してください。経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版/2026年3月改訂)」等に準拠したガバナンスが求められます。情報漏えいを恐れてAI利用を全面禁止にすると、現場が私用端末で無断利用する「シャドーAI」が常態化するリスクがあるため、入力データが学習に利用されない法人向けプラン(ChatGPT Team/EnterpriseやAzure OpenAI等)を契約して許容範囲を定めることが重要です。

【専門家に確認すること】

AIが作成したドラフトはあくまで「たたき台」です。以下の点については、必ず専門家に確認してください。

  • 就業規則・労働条件の変更: 労働契約法に基づく不利益変更の有無や、実際の労働時間制の適用可否、割増賃金計算の除外賃金の該当性など、法的裁量が必要な項目は、必ず社会保険労務士や弁護士に確認してください。
  • 税務上の手当の取り扱い: 各種手当の税務上の処理については、税理士に確認してください。
  • 情報管理規程の妥当性: 個人情報保護法に準拠した規程になっているかは、弁護士等の専門家に確認してください。

専門家に依頼する際は、AIが抽出した「未確定・要確認リスト」を改定案や改定根拠とセットで提出すると、確認作業がスムーズに進みます。

バックオフィス業務でAIを活用する際の情報漏洩対策や、利用ルールの策定手順については、過去記事経理業務をAIに任せた会社は、何に気づきどうルールを変えたかで詳しく解説しています。実務導入前のリスク管理としてぜひご参照ください。

まとめ:経営者のチェックリスト

  • □ 現行の就業規則をテキスト化し、個人名や具体的な金額をマスキングしているか
  • □ 入力データが学習に利用されない法人向けのAIプランを契約しているか
  • □ 経産省・総務省のAI事業者ガイドライン等に準拠した社内ルールを検討しているか
  • □ 自社の運用方針(交替勤務や変形労働時間制など)を整理し、AIへの指示に含めているか
  • □ 最終的な法的判定や不利益変更の有無を、社会保険労務士などの専門家に確認する体制になっているか

※ 本記事は一般的な情報の整理です。個別の法務・税務・労務の判断は専門家にご確認ください。特に、就業規則・労働条件の変更は社会保険労務士に確認してください。

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