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AI講座 公開

MCPとは? AIが会社の道具を使うしくみを、中のやりとりまで|ラクにゃんとミナが解説

MCPAIエージェントAPIJSON-RPCラクにゃん
目次(11 章)
ラクにゃんミナ

ラクにゃんとミナ

アイキャッチ
ミナ
ミナ
ラクにゃん、この前AIに打ち合わせの日程の調整を頼んだんです。候補はすぐ出してくれたんですけど、そのあとカレンダーに入れるのも、お客さんにメールするのも、結局ぜんぶ私が手でやって……。
ラクにゃん
ラクにゃん
あるあるだね。AIは考えるのは得意だけど、会社の道具に手が届いていないと、最後は人が運ぶことになるんだよ。
AIの答えをコピーして、カレンダー・表・メールへ、ひとつずつ貼って回る(イメージ)
AIの答えをコピーして、カレンダー・表・メールへ、ひとつずつ貼って回る(イメージ)
ミナ
ミナ
AIが、カレンダーやメールを直接使えたらいいのに。
ラクにゃん
ラクにゃん
それをかなえるつなぎ方のひとつが「MCP」だよ。今日は、MCPが何かだけじゃなくて、AIと道具のあいだで実際にどんなやりとりが起きているのかまで、のぞいてみようね。
この記事の要点
  1. 1MCPは、AIと会社の道具をつなぐための、公開された共通の規格。道具ごとに窓口(サーバー)を1つ作れば、MCPに対応したいろいろなAIから使える。AIが3つ・道具が4つなら、つなぎ方は12本から7本に減る。
  2. 2中では、AIのアプリの中の連絡係(クライアント)と道具の窓口が、決まった形の手紙を往復させている。AIは道具の「説明書」を読んでどれを使うかを選び、ネットの向こうの窓口には、許す範囲を決めた鍵で入る。
  3. 3道具を動かせるぶん、守りが大事。説明文や結果にまぎれただまし文に気をつけて、権限は必要な分だけ、窓口は出どころの確かなものだけ、取り消せない操作の前は人が確かめる。始めるなら、読むだけの仕事から。

1. MCPとは:AIのための「USB-C」

ミナ
ミナ
MCPって、何の略なんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
Model Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル)の頭文字だよ。Modelは、AIのモデル。Contextは、文脈、つまりAIが仕事をするときに知っておくべきこと。Protocolは、通信の約束ごと。
ラクにゃん
ラクにゃん
まとめると、「AIに、仕事に必要な情報や道具を渡すための約束ごと」だね。
ミナ
ミナ
約束ごと、というのがまだぴんと来ません。
ラクにゃん
ラクにゃん
身近なたとえで言うと、USB-Cだよ。少し前まで、スマホやパソコンの充電のケーブルは、機械ごとに形がバラバラだったよね。いまは、USB-Cの形にそろってきたから、1本のケーブルでいろいろな機械につなげる。
形のバラバラなケーブルと、ひとつの形にそろった差し込み口(3D)
形のバラバラなケーブルと、ひとつの形にそろった差し込み口(3D)
ラクにゃん
ラクにゃん
AIと道具のつなぎ方も、これまでは組み合わせごとにバラバラだった。MCPは、そのつなぎ口の形をそろえる規格なんだよ。
ミナ
ミナ
ChatGPTでも使えるんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
ChatGPTも、Claudeも、プログラムを書くための道具の多くも、MCPに対応しているよ。どこまで使えるかは、アプリのプランや設定によってちがうから、使っているアプリの説明を見てみてね。MCPの決まりごと自体は公開されていて、だれでも無料で使えるんだ。

2. なぜ要るの:組み合わせが多すぎる

ミナ
ミナ
つなぎ口がバラバラだと、何が困るんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
数で考えると分かりやすいよ。たとえば、会社で使うAIが3つ、つなぎたい道具が4つあるとするね。組み合わせごとにつなぎ方を作ると、3×4で12本。道具を1つ増やすと、AIの数だけ、また作ることになるんだ。
AI のアプリ道具組み合わせごと:12 本MCPABCカレンダー売上の表メール顧客台帳MCP をはさむと:3+4=7 本道具を 1 つ足すと 12 → 15 本/7 → 8 本
AI のアプリ道具組み合わせごと:12 本MCPABCMCP をはさむと:3+4=7 本道具を 1 つ足すと 12 → 15 本/7 → 8 本
かけ算が、足し算になる
ミナ
ミナ
12本が7本に!
ラクにゃん
ラクにゃん
そう。まん中に共通の約束ごとをはさむと、AIの側は「MCPを話せる」ようにしておくだけ、道具の側は「MCPの窓口」を1つ作るだけでよくなる。かけ算が、足し算になるんだよ。
ラクにゃん
ラクにゃん
しかも、一度作った道具の窓口は、MCPに対応したほかのAIからも使える。使うAIを乗り換えても、つなぎ直しが少なくて済むね。

3. 登場人物:ホスト・クライアント・サーバー

ミナ
ミナ
MCPでつなぐとき、中には何がいるんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
3つの役があるよ。1つ目は「ホスト」。人が使っているAIのアプリそのもののことだね。チャットのアプリや、プログラムを書くための道具がそうだよ。
ラクにゃん
ラクにゃん
2つ目は「サーバー」。カレンダーや売上の表など、道具ごとに用意する窓口のこと。「サーバー」と聞くと大きな機械を思い浮かべるかもしれないけど、ここでは「道具の窓口のプログラム」くらいに思っておけばいいよ。この記事では、ここから「窓口」と呼ぶね。
ミナ
ミナ
窓口って、だれが作るんですか? 私はプログラムなんて書けません……。
ラクにゃん
ラクにゃん
大丈夫だよ。よく使われているサービスは、その会社が窓口を用意していることが増えているから、AIのアプリの設定でつなぐだけ、ということも多いんだ。プログラムを書く人が要るのは、自分の会社だけのシステムをつなぐときだね。
ラクにゃん
ラクにゃん
3つ目は「クライアント」。お客さん、という意味じゃなくて、ホストの中にいる「連絡係」のことだよ。大事なのは、連絡係は窓口1つにつき1人ずつ、ということ。カレンダーとつなぐ係、表とつなぐ係、というふうに、担当が分かれているんだ。
ホスト(AI のアプリ)AI連絡係窓口(サーバー)カレンダー連絡係窓口(サーバー)売上の表連絡係窓口(サーバー)メール人が使うのはここ連絡係は窓口 1 つに 1 人・係どうしは壁で分かれる
ホスト(AI のアプリ)AI係窓口カレンダー係窓口売上の表係窓口メール人が使うのはここ係どうしは壁で分かれる
ホスト・クライアント(連絡係)・サーバー(窓口)
ホストの差し込み口に、道具ごとのケーブルを差していく(3D)
ホストの差し込み口に、道具ごとのケーブルを差していく(3D)
ミナ
ミナ
担当を分けるのは、なぜですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
道具ごとに、見てよいもの・してよいことがちがうからだよ。担当を分けておけば、カレンダーの係が、売上の表の中身をのぞけないように作れる。その壁を守るのは、ホストの役目だね。

4. 中のやりとり:日程の調整をのぞいてみる

ミナ
ミナ
では、AIが道具を使うとき、実際には何が起きているんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
最初に話した日程の調整で、通しで追ってみるね。ミナさんが「来週、A社さんと1時間の打ち合わせを入れて、ご案内のメールも用意して」と頼んだとするよ。
1人来週、A 社と 1 時間。案内のメールも2AI → カレンダー予定を探す(来週・1 時間)→ 空き 3 つ3AI → 人火曜 14 時・木曜 16 時・金曜 10 時のどれに?4人木曜 16 時で5AI → カレンダー予定を入れる(仮)→ 入れました6AI → メール下書きを作る → できました(送るのは人)
1人来週、A 社と 1 時間。案内のメールも2AI → カレンダー予定を探す(来週・1 時間)→ 空き 3 つ3AI → 人火曜 14 時・木曜 16 時・金曜 10 時のどれに?4人木曜 16 時で5AI → カレンダー予定を入れる(仮)→ 入れました6AI → メール下書きを作る → できました(送るのは人)
道具を使うのは 3 回・聞き返しは 1 回
ラクにゃん
ラクにゃん
AIはまず、カレンダーの窓口の「予定を探す」を使って、空きを3つ見つける。どれにするかはミナさんに聞き返して、「木曜の16時」と返事をもらったら、「予定を入れる」で仮に入れる。最後に、メールの窓口の「下書きを作る」で、ご案内の文を用意するんだ。
ミナ
ミナ
送るところまでは、やらないんですね。
ラクにゃん
ラクにゃん
送るかどうかは、ミナさんが下書きを読んでから決めればいい。道具を3回使って、聞き返しを1回はさんだだけで、いままで手でやっていた所がほとんど片づくね。

1回の往復の中身:決まった形の手紙

ミナ
ミナ
道具を1回使うごとに、中では何をしているんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
連絡係と窓口のあいだで、決まった形の「手紙」が行って帰ってくるんだよ。手紙の中には、何をしてほしいか、そのための材料、それから整理番号が入っている。この形は、前からある「JSON-RPC(ジェイソン・アールピーシー)」という決まりを使っているんだ。
連絡係窓口してほしいこと道具を使う(tools/call)材料道具=予定を探す・期間=来週・長さ=1 時間整理番号7添え書きこの版で話しています・こんなことができます整理番号7結果火曜 14 時・木曜 16 時・金曜 10 時番号札がそろうから、返事を取りちがえない
連絡係窓口してほしいこと道具を使う(tools/call)材料予定を探す・来週・1 時間整理番号7添え書きこの版で話しています ほか整理番号7結果火曜14時・木曜16時・金曜10時番号札がそろうから、返事を取りちがえない
手紙の形は JSON-RPC(前からある決まった形)
ミナ
ミナ
整理番号は何のためですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
たくさんの手紙が行き来しても、どの返事がどのお願いへの答えかを取りちがえないためだよ。銀行の窓口の番号札と同じだね。
ミナ
ミナ
「添え書き」もありますね。
ラクにゃん
ラクにゃん
いまのMCPでは、連絡係が送る手紙の1通1通に、「この版の約束ごとで話しています」「こちらはこんなことができます」と書き添えるんだ。窓口の側にも、「こちらが話せる版と、できること」を答える受付が必ずあるから、最初にそこへ聞いておくこともできるよ。
ラクにゃん
ラクにゃん
手紙の種類は、ほかにもあるよ。最初に「使える道具の一覧をください」とお願いすると、窓口は「予定を探す」「予定を入れる」のような一覧を返す。この一覧が、AIに渡されるんだ。それから、「一覧が変わったら教えてね」と申し込んでおくと、道具が増えたり減ったりしたときに、窓口からお知らせが届く。お知らせは返事のいらない手紙だから、整理番号はついていないんだよ。
手紙を届けに走るラクにゃん(3D)
手紙を届けに走るラクにゃん(3D)

5. 道具の説明書:AIは「説明文」を読んで選ぶ

ミナ
ミナ
道具の一覧には、何が書いてあるんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
道具1つにつき、説明書が1枚あると思えばいいよ。中身は大きく3つ。道具の名前、何をする道具かの説明文、それから、使うときに渡す材料の形。
道具の説明書名前予定を探す説明指定した期間の、空いている時間を探します。予定の中身は返しません材料の形期間(必ず入れる・日付)/長さ(分)目印:読むだけ渡された材料期間=来週期間=「たぶん来月くらい」形が合わないものは受け付けない
道具の説明書名前予定を探す説明指定した期間の空き時間を探す予定の中身は返しません材料の形期間(必ず)・長さ(分)目印:読むだけ渡された材料期間=来週期間=「たぶん来月くらい」形が合わないものは受け付けない
材料の形は JSON Schema という決まった書き方で書く
ラクにゃん
ラクにゃん
材料の形は、「期間は必ず入れる」「長さは分で」というふうに決めておくんだ。決まった書き方(JSON Schema)があるから、AIがおかしな材料を渡しそうになっても、受け付ける前に気づけるんだよ。
ミナ
ミナ
説明文は、人が読むためのものですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
そこがおもしろい所でね。説明文を一番よく読むのは、AIなんだよ。AIは、頼まれた仕事と、それぞれの説明文を読み比べて、どの道具を使うかを決める。だから、説明文があいまいだと、AIは道具を選びまちがえるんだ。
ミナ
ミナ
説明文の書き方で、AIの動きが変わるんですね。
ラクにゃん
ラクにゃん
たとえば、「カレンダーを操作します」とだけ書いた道具と、「指定した期間の空き時間を探します。予定の中身は返しません。予定を入れるときは別の道具を使ってください」と書いた道具。後のほうが、AIは迷わないし、まちがって予定を消すような使い方もしにくいよね。
カレンダーを操作します探す入れる消す??指定した期間の空き時間を探します。予定の中身は返しません。予定を入れるときは別の道具を探す入れる消す
カレンダーを操作します探す入れる消す??指定した期間の空き時間を探します。予定の中身は返しません。予定を入れるときは別の道具を探す入れる消す
説明文を一番よく読むのは AI
ミナ
ミナ
道具が多いほど、便利になるんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
それが、多すぎるのも困りものなんだ。似たような道具がたくさん並ぶと、AIはどれを使えばいいか迷うし、説明書を読むだけで手間がかかる。1つの窓口には、仕事に必要な道具をちょうどいい数だけ置くのがコツだよ。
ラクにゃん
ラクにゃん
それから、説明書には「読むだけ」「消してしまう」といった目印をつけておけるよ。ホストは、その目印を見て、人に確かめるかどうかを決められる。ただ、目印は窓口が自分でつけるものだから、当てにしていいのは、信頼できる窓口のものだけだね。

道具のほかに出せるもの

ミナ
ミナ
窓口が出せるのは、道具だけなんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
3種類あるよ。しかも、「だれが使うかを決めるか」で分かれているんだ。
道具tools決める:AI例:予定を入れる資料resources決める:アプリ例:社内の規程の文書ひな形prompts決める:人例:議事録をまとめる型窓口 → 人へ聞き返す:「どちらの日にしますか?」
道具(tools)例:予定を入れる決める:AI資料(resources)例:社内の規程の文書決める:アプリひな形(prompts)例:議事録をまとめる型決める:人窓口 → 人へ聞き返す:「どちらの日に?」
だれが使うかを決めるかで、3 つに分かれている
ラクにゃん
ラクにゃん
1つ目は「道具」。予定を入れる、表を集計する、のように何かをするもので、使うかどうかはAIが決める。2つ目は「資料」。社内の規程の文書や、表のデータのように、読ませるためのもの。どれを読ませるかは、アプリの側が決めるんだ。3つ目は「ひな形」。「議事録をまとめる」のような、決まった頼み方の型だね。これは、人がメニューから選んで使うものだよ。
ミナ
ミナ
使う人が決まっているから、勝手に動きすぎないんですね。
ラクにゃん
ラクにゃん
そういうこと。それから、窓口の側から、アプリを通して人に「どちらの日にしますか?」と聞き返すこともできるよ。最後に決めるのは人、という形を、しくみの中で守っているんだね。

6. つなぎ方と鍵:手元と、ネットの向こう

ミナ
ミナ
連絡係と窓口は、どうやってつながっているんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
大きく2つあるよ。1つは、同じパソコンの中でつなぐやり方。ホストが窓口のプログラムを自分で立ち上げて、すぐ横で手紙をやりとりする(stdio)。パソコンの中のファイルや、手元の道具をつなぐときに向いているよ。
ラクにゃん
ラクにゃん
もう1つは、ネットの向こうの窓口とつなぐやり方。Webと同じ通り道(HTTP)で手紙を送るんだ。会社のクラウドのサービスや、外の会社が用意した窓口とつなぐときはこちらだね。
同じパソコンの中(stdio)ホスト窓口使う人と同じ力で動くネットの向こう(HTTP)ホスト窓口鍵(OAuth):予定を読む ○ /入れる ○予定を消す ×
同じパソコンの中(stdio)ホスト窓口使う人と同じ力で動くネットの向こう(HTTP)ホスト窓口鍵(OAuth):予定を読む ○ /入れる ○予定を消す ×
ネットの向こうの窓口は、データセンターなどで動いている(イメージ)
ネットの向こうの窓口は、データセンターなどで動いている(イメージ)
ミナ
ミナ
ネットの向こうだと、だれでもつなげてしまいませんか?
ラクにゃん
ラクにゃん
そこで鍵が出てくるんだよ。ネットの向こうの窓口に鍵をかけるときは、「OAuth(オーオース)」という、Webでよく使われている許可のしくみを使うことになっているんだ。
AI のアプリが、あなたのカレンダーへのアクセスを求めています予定を読む予定を入れる予定を消す許可するAI のアプリに渡る鍵読む・入れる だけパスワードは渡さないあとから取り消せる
AI のアプリが、あなたのカレンダーへのアクセスを求めています予定を読む予定を入れる予定を消す許可する渡る鍵:読む・入れる だけ(パスワードは渡さない)あとから取り消せる
画面はイメージ
ミナ
ミナ
あ、ログインのときに出る「〇〇が、あなたのカレンダーへのアクセスを求めています。許可しますか?」っていう画面ですね。
ラクにゃん
ラクにゃん
それそれ。人が一度ログインして「このAIに、予定を読むことと入れることだけ許します」と許可を出すと、その範囲だけ使える鍵が渡される。パスワードそのものをAIに渡すわけじゃないし、許す範囲を絞れるし、あとから取り消すこともできる。会社の道具をつなぐなら、この「何を許すか」を決めるのが一番大事なところだよ。
ミナ
ミナ
手元のパソコンの中でつなぐほうは、鍵はいらないんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
手元の窓口は、パソコンを使っている人と同じ力で動くんだ。その人が開けるファイルは、窓口も開けてしまう。だから、手元に入れる窓口こそ、出どころの確かなものを選ぶのが大事なんだよ。便利さと、任せる力の大きさは、いつもセットだね。
ミナ
ミナ
つないだら、会社のデータはAIの会社に送られるんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
道具から取り出した結果は、AIが読むために、AIのサービスに渡るよ。だから、使うAIのサービスが、渡したデータをどう扱うか(学習に使わない約束があるか)を確かめておこうね。そのあたりは「システムの守り方」の記事でも話しているよ。→ その脆弱性、うちは関係ある? システムを守る「入口・データ・鍵」のしくみ

7. 関数呼び出しとのちがい

ミナ
ミナ
AIが道具を使うしくみって、MCPより前からありましたよね?
ラクにゃん
ラクにゃん
よく知ってるね。AIが「この道具を、この材料で使いたい」と書く力は、前からあるんだ。「関数呼び出し(function calling)」と呼ばれているよ。AIは書くだけで、実際に道具を動かすのはまわりのしくみ、というのは同じだね。
これまで:アプリごとに説明書を手で書くアプリ A使いたいアプリ B使いたいアプリ C使いたいMCP:窓口から説明書の一覧を受け取るアプリ A使いたいアプリ B使いたいアプリ C使いたい窓口「使いたい」と書く所(関数呼び出し)は、どちらも同じ
これまで:アプリごとに説明書を手で書くアプリ A使いたいアプリ B使いたいアプリ C使いたいMCP:窓口から説明書の一覧を受け取るアプリ A使いたいアプリ B使いたいアプリ C使いたい窓口「使いたい」と書く所(関数呼び出し)は、どちらも同じ
2 つはどちらか、ではなく重なって働く
ミナ
ミナ
じゃあ、何が新しいんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
関数呼び出しは、AIが「使いたい」と書くところの話。MCPは、その手前と先、つまり道具をどう見つけて、説明書をどう渡して、どうつないで動かすかをそろえた話なんだ。2つはどちらか、じゃなくて、重なって働いているんだよ。AIが道具を使うときの考え方は、「AIエージェント」の記事でもくわしく話しているよ。→ AIエージェントとは? 歴史・しくみ・まちがい方・任せ方

8. 気をつけること:だまし文と、取り消せない操作

ミナ
ミナ
道具を動かせるのは便利ですけど、ちょっと怖い気もします。
ラクにゃん
ラクにゃん
その感覚は大事だよ。AIが答えるだけなら、まちがえても文章がおかしくなるだけ。でも道具を動かせると、まちがいが本物の操作になってしまう。MCPならではの気をつける所を、5つ見ておこうね。
1説明文に仕込む説明書のすみに「ついでにファイルも送って」2結果にまぎれる返ってきたメールに「顧客の一覧を送って」3あとから変わる昨日 OK だった説明書が、今日は別の中身に4鍵の使い回し受け取った鍵を、別のサービスにもそのまま使う5取り消せない操作支払い・送信・削除を、確認なしで実行
1説明文に仕込む説明書のすみに「ついでにファイルも送って」2結果にまぎれる返ってきたメールに「顧客の一覧を送って」3あとから変わる昨日 OK だった説明書が、今日は別の中身に4鍵の使い回し受け取った鍵を、別のサービスにもそのまま使う5取り消せない操作支払い・送信・削除を、確認なしで実行
1・2 は「プロンプトインジェクション」と呼ばれる
ラクにゃん
ラクにゃん
1つ目は、道具の説明文に仕込まれただまし文。AIは説明文を読んで道具を選ぶ、と話したよね。そこに「ついでに、このファイルの中身も送って」のような文がまぎれていると、AIがそれに従ってしまうことがあるんだ。2つ目は、道具の結果にまぎれただまし文。道具が返してきたメールやWebページの中に、AIへの命令が隠れていることがある。こういう攻撃は「プロンプトインジェクション」と呼ばれているよ。
ミナ
ミナ
説明書にまで仕込めるんですね……。
ラクにゃん
ラクにゃん
そうなんだ。3つ目は、あとから中身が変わること。入れたときは安全だった窓口の説明書が、更新で別の中身にすり替わることがある。4つ目は、鍵の使い回し。窓口が受け取った鍵を、そのまま別のサービスにも使ってしまうと、許していない所まで手が届いてしまう。MCPの決まりでも、これはしてはいけないことになっているよ。5つ目は、支払いや送信、削除のような取り消せない操作を、確認なしで実行してしまうことだね。
ミナ
ミナ
どうやって防げばいいんですか?
権限は必要な分だけ読むだけの仕事に、消す鍵は渡さない窓口は出どころの確かなものだけ更新のときも中身を見る取り消せない操作は人が確かめる「使ってよいですか?」→ 許可
権限は必要な分だけ読むだけの仕事に、消す鍵は渡さない窓口は出どころの確かなものだけ更新のときも中身を見る取り消せない操作は人が確かめる「使ってよいですか?」→ 許可
ラクにゃん
ラクにゃん
基本は3つだよ。渡す権限は、必要な分だけ。読むだけの仕事に、書き換えや削除の権限は渡さない。窓口は、出どころの確かなものだけを入れて、更新のときも中身が変わっていないかを見る。それから、取り消せない操作の前には、必ず人が確かめるように設定しておく。この3つを守れば、怖さはぐっと小さくなるよ。

9. MCPの歩みと、いま

ミナ
ミナ
MCPは、どこかの会社のものなんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
はじめは、AIの会社のAnthropicが2024年11月に公開したんだ。中身をだれでも読めて、だれでも使える形でね。そのあと、ほかのAIの会社や、プログラムを書く道具の会社も次々に対応していったよ。
2024.11公開Anthropic が公開2025.03ネットの向こうつなぎ方と許可のしくみ2025対応が広がる主な AI のアプリ・開発の道具2025.12中立の団体へLinux Foundation の団体へ2026.07いまの版1 通ごとの添え書き
2024.11公開Anthropic が公開2025.03ネットの向こうつなぎ方と許可のしくみ2025対応が広がる主な AI のアプリ・開発の道具2025.12中立の団体へLinux Foundation の団体へ2026.07いまの版1 通ごとの添え書き
ラクにゃん
ラクにゃん
それから2025年の12月には、特定の会社のものではなく、中立の団体で育てていく形になった。約束ごとの中身も、使われ方に合わせて少しずつ新しい版になっているよ。公開されている窓口を登録する公式の名簿も、試しの形で始まっているんだ。
同じ形の差し込み口が、世界中に広がっていく(3D)
同じ形の差し込み口が、世界中に広がっていく(3D)
ミナ
ミナ
似たような約束ごとは、ほかにもあるんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
AIどうしをつなぐための「A2A」という約束ごともあるよ。MCPが「AIと道具」をつなぐのに対して、A2Aは「AIとAI」が仕事を頼み合うためのもの。役わりがちがうから、いっしょに使われることもあるんだ。

10. 自分の会社で始めるなら

ミナ
ミナ
うちみたいな小さな会社でも、MCPって意味がありますか?
ラクにゃん
ラクにゃん
あるよ。大きなシステムがなくても、毎日使っているカレンダーやメール、表計算がAIとつながるだけで、最初の話みたいな「手で運ぶ」作業はぐっと減るからね。
ミナ
ミナ
費用は、どのくらいかかるんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
MCPの決まりごと自体は無料だよ。かかるのは、使うAIのアプリや道具の料金と、自分の会社だけのシステムをつなぐときの作る手間だね。すでに窓口を用意しているサービスどうしなら、設定だけで済むことも多いよ。
ミナ
ミナ
何から始めればいいですか?
1. 対応を調べる道具に窓口はある?2. 読むだけで試す予定を探す・集計する3. 下書きまで任せる仮の予定・メールの下書き4. 人が確かめて実行「使ってよい?」→ 許可
1. 対応を調べる道具に窓口はある?2. 読むだけで試す予定を探す・集計する3. 下書きまで任せる仮の予定・メールの下書き4. 人が確かめて実行「使ってよい?」→ 許可
1 段ずつ、任せる範囲を広げる
ラクにゃん
ラクにゃん
階段を1段ずつ上がるといいよ。まずは、毎日使っている道具が、MCPの窓口をもう用意しているかを調べてみる。公式の窓口を用意しているサービスも増えているよ。
毎日使う道具が、MCPに対応しているかを調べる(イメージ)
毎日使う道具が、MCPに対応しているかを調べる(イメージ)
ラクにゃん
ラクにゃん
つないだら、読むだけの仕事から試すのがおすすめ。予定を探す、売上を集計する、のような仕事でAIの動きに慣れてから、予定を仮で入れる、メールの下書きを作る、のように少しずつ任せる範囲を広げていくんだ。AIのアプリの側でも、道具を使うたびに「使ってよいですか?」と聞く設定にできるから、慣れないうちは毎回確かめる設定にしておくと安心だよ。
ミナ
ミナ
自分の会社だけのシステムは、どうするんですか?
ラクにゃん
ラクにゃん
システムに「API」という、プログラムどうしで話すための入口がすでにあるなら、それを包んでMCPの窓口にできるよ。全部を作り直すわけじゃないんだ。作ったら、公式の試す道具で、AIから説明書がどう見えるかを確かめる。だれが・いつ・何をしたかの記録が残るようにしておくと、もっと安心だね。
ラクにゃん
ラクにゃん
自分で確かめるときも、作ってくれる会社に聞くときも、この表を使ってみてね。
対応の確認使っている道具に、公式の MCP の窓口はありますか?許す範囲AI に許すのは、読むだけですか?書き込みや削除もですか?出どころ入れる窓口は、だれが作ったものですか?更新のとき中身を確かめますか?人の確認支払い・送信・削除の前に、人が確かめる設定ですか?鍵鍵(OAuth)の範囲は絞れますか?あとから取り消せますか?データAI のサービスは、渡したデータを学習に使いませんか?記録AI がいつ、どの道具で、何をしたかの記録は残りますか?
対応の確認使っている道具に、公式の MCP の窓口はありますか?許す範囲AI に許すのは、読むだけですか?書き込みや削除もですか?出どころ入れる窓口は、だれが作ったものですか?更新のとき中身を確かめますか?人の確認支払い・送信・削除の前に、人が確かめる設定ですか?鍵鍵(OAuth)の範囲は絞れますか?あとから取り消せますか?データAI のサービスは、渡したデータを学習に使いませんか?記録AI がいつ、どの道具で、何をしたかの記録は残りますか?
自分で確かめるときも、作ってくれる会社に聞くときも
ミナ
ミナ
まずは、うちの道具がMCPに対応しているか、調べるところからですね。
ラクにゃん
ラクにゃん
うん。つながる道具が増えるほど、AIは話し相手から、いっしょに働く仲間になっていくよ。そのぶん、何を許すかを決めるのは人の仕事。そこさえ押さえれば、心強い手足になってくれるんだ。このお話は、YouTubeでも解説しているよ。
MCPがなかったころ 形のちがうケーブルとアダプタで、ぐるぐる巻き
MCPがなかったころ 形のちがうケーブルとアダプタで、ぐるぐる巻き

参考サイトと出典

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