解説
AIの利用目的や影響度に応じて、対策の強度を変える考え方。医療診断や採用判定など「高リスク」な用途には厳格な管理を求め、社内事務などの「低リスク」な用途には簡易なルールを適用します。これにより、安全性確保とイノベーション促進の両立を図ります。
さらに詳しく解説
リスクベースアプローチとは
リスクベースアプローチ(Risk-based Approach)は、AIシステムのリスクレベルに応じて規制や管理の程度を変える手法です。EU AI規制法の核心的な考え方です。
基本概念
リスクベースアプローチの考え方:
├── 高リスク → 厳格な規制
├── 中リスク → 適度な規制
├── 低リスク → 軽微な規制
└── リスクなし → 規制なしEU AI規制法のリスク分類
| リスクレベル | 対象例 | 規制内容 |
|---|---|---|
| 許容不可 | ソーシャルスコアリング | 禁止 |
| 高リスク | 採用AI、医療AI | 厳格な義務 |
| 限定リスク | チャットボット | 透明性義務 |
| 最小リスク | ゲームAI | 規制なし |
高リスクAIの義務
高リスクAIへの要求事項:
├── リスク管理システム
│ └── 継続的な[リスク評価](/glossary/risk-assessment)
├── データガバナンス
│ └── 品質・代表性の確保
├── 技術文書
│ └── 仕様・評価結果の文書化
├── ログ機能
│ └── 動作記録の保持
├── 透明性
│ └── ユーザーへの情報提供
├── 人間の監視
│ └── [ヒューマン・イン・ザ・ループ](/glossary/human-in-the-loop)
└── 堅牢性
└── 精度・セキュリティ確保メリット
| メリット | 説明 |
|---|---|
| 比例性 | リスクに見合った対応 |
| 効率性 | リソースの適切な配分 |
| 柔軟性 | 技術進歩への対応 |
| 予見可能性 | 明確な規制基準 |
日本での適用
日本の[AIガバナンス](/glossary/ai-governance):
├── [AI事業者ガイドライン](/glossary/ai-business-operator-guidelines)
│ └── リスクに応じた対応推奨
├── 3省2ガイドライン
│ └── 医療AI特有のリスク対応
└── 業界ガイドライン
└── 分野別の自主規制リスク評価の観点
| 観点 | 評価内容 |
|---|---|
| 影響の深刻さ | 人の権利・安全への影響 |
| 発生確率 | リスク顕在化の可能性 |
| 可逆性 | 被害の回復可能性 |
| 規模 | 影響を受ける人数 |
実践ステップ
リスクベースアプローチの実践:
1. AIシステムの特定
└── 対象システムの把握
↓
2. 用途・影響の分析
└── どのような影響があるか
↓
3. リスクレベルの判定
└── 高/中/低/最小の分類
↓
4. 対応策の決定
└── レベルに応じた対策
↓
5. 継続的なモニタリング
└── リスク変化への対応課題
| 課題 | 対応策 |
|---|---|
| 分類の曖昧さ | ガイダンスの整備 |
| 国際的な差異 | 相互認証の検討 |
| 技術進歩 | 定期的な見直し |
| 運用コスト | 効率的な評価手法 |
