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実践ガイド

【医療・介護経営者向け】AIで「1日60分」の時間を生む。ツール比較と現場定着の最短ルート

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AI編集部

ラクタノ AI編集部

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「求人を出しても応募が来ない」「事務作業に追われて患者様や利用者様と向き合う時間が取れない」

多くの開業医の先生方、介護事業所の経営者様が、この慢性的な課題に頭を悩ませていることと思います。現場のスタッフは疲弊し、それが離職につながり、さらに残ったスタッフの負担が増える――この負の連鎖を断ち切る鍵として、2026年現在、生成AI」の実用化が決定的な役割を果たし始めています。

AIなんて難しそうだ」「うちはIT専門のスタッフもいないし……」と思われるかもしれません。しかし、最新の調査では、AI導入によりスタッフ1人あたり1日40〜60分の業務時間を削減し、結果として離職率を15%も改善させた事例が出てきています。

本記事では、ITの専門家ではない経営者・実務担当者の方に向けて、今選ぶべきAIツールの比較から、現場を混乱させずに定着させるための具体的な手順までを分かりやすく解説します。

1. 「実験」から「実益」へ。進化した医療・介護AI

これまで「AI」といえば、単に音声を文字にするだけだったり、使い方が難しかったりと、現場の負担になることも少なくありませんでした。しかし、2024年から2026年にかけて技術は飛躍的に進歩し、現在はエージェント型AIがトレンドになっています。

エージェント型AIとは、指示を待つだけでなく、「会話からカルテの下書きを作る」「検査値の異常からケアプランの修正案を出す」といった、次のアクションを自律的に提案・実行してくれるAIのことです。

この進化により、AIは単なる「記録ツール」から、頼れる「新人スタッフ」のような存在へと変わりつつあります。

2. 【医療・介護別】主要AIツールの機能・価格比較

現場導入において最も重要なのは、単体の機能よりも「今使っている電子カルテや介護ソフトとつながるか(連携性)」です。ここでは、現在多くの施設で導入が進んでいる主要ツールを比較します。

医療現場向け:入力の「ハイブリッド化」が鍵

医療現場では、患者さんが入力する情報と、医師の診察内容を組み合わせる運用が標準になりつつあります。

ユビー(Ubie)

  • 役割: 患者入力型(AI問診
  • 特徴: 待合室で患者さんにタブレット等で問診に答えてもらうシステムです。医師は診察前に詳細な症状を把握できるため、診察時間を数分単位で短縮できます。また、適切な診療科への案内や予約管理までを代行する「コンシェルジュ」的な機能も強化されています。
  • 概算費用: 月額3万円〜

Medimo(メディモ)

  • 役割: 医師入力型(音声カルテ作成)
  • 特徴: 診察中の医師と患者の会話をAIが聞き取り、自動でカルテの「下書き」を作成します。PHC等の主要な電子カルテと連携しており、医師は最後に内容を確認して承認ボタンを押すだけ。事務作業時間を劇的に減らします。
  • 概算費用: 月額5万円前後〜

【ここがポイント】

多くのクリニックで、この2つを組み合わせる「ハイブリッド運用」が進んでいます。事前の問診情報(Ubie)と、診察時の会話(Medimo)を合わせることで、情報の記載漏れを二重に防ぐことができます。

介護現場向け:記録と見守りの自動化

介護現場では、「記録業務」と「見守り」という二大負担の軽減にAIが活用されています。

CareWiz 話して記録

  • 役割: 音声記録・介護ソフト連携
  • 特徴: スタッフがスマホやインカムに向かって「〇〇さん、水分摂取200mlです」と話すだけで、AIが介護ソフトの該当項目に自動入力します。申し送り事項の要約自動化され、記録時間を1人あたり1日40〜60分削減した実績があります。
  • 概算費用: 月額3万円〜(施設単位)

HITOMEQ ケアサポート(コニカミノルタ)

  • 役割: 行動分析・見守り
  • 特徴: 居室内の映像をAIが解析し、転倒や起床を検知してスタッフのスマホに通知します。さらに、転倒時の映像が自動で記録されるため、「エビデンス(証拠)」として家族への説明や事故報告書の作成に活用でき、心理的負担を大幅に軽減します。
  • 費用: 個別見積(設備導入型)

特に介護現場での導入効果が高い音声入力AIについては、具体的な導入ステップや成功事例を「記録が終わらない」悩みから解放!音声入力AIで残業を月15時間減らす現場導入ガイドで詳しく解説しています。

3. 投資対効果(ROI)は「時間」と「離職防止」で見る

「月額数万円のコストは高い」と感じるかもしれませんが、実際の導入効果を数字で見ると、その投資価値は明らかです。

数字で見る削減効果

  • 残業代の削減: 事務作業由来の残業が平均70%削減されています。例えば、スタッフ5人の事業所で月80時間の残業が減れば、年間で約200万円程度の人件費抑制効果が見込めます。
  • 投資回収期間: IT導入補助金(最大3/4補助)を活用することで、多くのケースで実質的な投資回収は1年未満で完了しています。町田市民病院の事例では、タスクシフトへの投資に対し、250%(5億円相当)のリターンがあったと試算されています。

隠れた最大のリターン「離職率改善」

経営者として最も注目すべきは、離職率が15%改善するというデータです。

介護や医療の現場を去る理由の多くは、「本来やりたかったケアや診療ができず、事務作業に追われるストレス」です。AIが事務作業を肩代わりすることで、スタッフは患者様や利用者様と向き合う時間を取り戻せます。採用と教育にかかるコスト(1人あたり数十万〜百万円超)を考えれば、離職を防ぐことはツール導入費を大きく上回る利益となります。

※ROIの考え方については、他業種の事例ですがこちらの記事でも詳しく解説しています。

4. セキュリティと「AIの嘘」への対策

医療・介護情報は極めて機微な個人情報です。「AIが嘘をついたら(ハルシネーション)どうするのか」「情報漏洩は大丈夫か」という懸念は当然です。

「RAG」技術で嘘を防ぐ

最新の医療AIには、RAG(検索拡張生成)という技術が標準装備されています。これは、AIがインターネット上の不確かな情報を適当につなぎ合わせるのではなく、「院内の過去データ」や「信頼できる医学文献」のみをカンニングペーパーとして参照し、回答を作成する仕組みです。

これにより、根拠のない回答をするリスクは極限まで抑えられています。

最終責任は「人」にある

法的なガイドラインにおいても、AIの出力に基づく結果の最終責任は医師や専門職(人間)にあるとされています。AIはあくまで「優秀な助手」であり、最終決定権は人間が持つHuman-in-the-loop(人間が輪の中に入っている状態)」の運用フローを構築することが、最大のリスク管理となります。

セキュリティ対策の基本については、士業向けのガイド記事も参考になります。医療現場でも応用できる「守るべきポイント」を解説しています。

5. 失敗しない「スモールスタート」導入手順

いきなり高額なシステムを全社一斉導入するのは失敗のもとです。以下の3ステップで進めることをお勧めします。

ステップ1:チャットツールから始める(1〜2ヶ月目)

まずは「LINE WORKS」や「Chatwork」などのビジネスチャットを導入し、電話や紙のメモをなくすことから始めます。「情報共有が楽になった」という成功体験をスタッフに持ってもらい、デジタルへの心理的ハードルを下げます。

ステップ2:現場の「DXリーダー」を決める

ITに詳しい人ではなく、「現場の業務フローを熟知していて、新しいものに抵抗がない若手〜中堅スタッフ」を1名、DXリーダーに指名してください。全員一斉の研修は行わず、リーダーが実際に使いながら周囲に広めていくOJT形式が最も定着率が高いです。

ステップ3:運用ルールの「引き算」をする

新しいツールを入れる際、これまでの紙の記録も残そうとすると、現場は「仕事が増えた」と感じて反発します。

  • 「紙とデジタルの二重入力期間は2週間だけ」と決める
  • 導入初期は入力項目を必須の3つだけに絞る

このように、これまでの業務を「やめる(引き算する)」覚悟を持つことが、導入成功の決定打となります。

まとめ:明日から実践できること

AI活用はもはや「未来の話」ではなく、今日からできる「生存戦略」です。

1現状を計測する: まずはスタッフが1日に何分「記録・事務」に使っているか、ストップウォッチで測ってみてください。それが削減できる時間の目標値になります。
2音声入力を試す: 高価なシステムの前に、スマホの音声入力機能を使って「声でメモを取る」体験を現場リーダーとしてみてください。
3補助金情報をチェックする: 2025年度以降もIT導入補助金は継続が見込まれます。認定ベンダーへの相談準備を始めましょう。

小さな一歩が、現場の笑顔と経営の安定につながります。まずは「書く」業務を「話す」業務に変えることから始めてみてはいかがでしょうか。

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