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政策・法規制

政府の新しいAI行動規範「プリンシプル・コード」、自社開発していなくても対象?中小企業が今すぐすべきこと

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AI編集部

ラクタノ AI編集部

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概要

先日、内閣府をはじめとする政府は、生成AIの透明性確保や知的財産保護を目的とした新しい行動規範「プリンシプル・コード」を公表しました。

この制度の最大の特徴は、「コンプライ・オア・エクスプレイン(ルールを守るか、さもなくば理由を説明せよ)」という柔軟な仕組みを採用している点です。法的拘束力や直接的な罰則はありませんが、AIを自社で開発する企業だけでなく、他社のAIを自社のアプリやサービスに組み込んで提供する企業も対象となります。そのため、ITツールやサービスを展開する多くの中小企業にとっても「自分ごと」として対応を検討すべき重要なルールとなっています。

背景

昨年(2025年)9月に「AI推進法」が全面施行されて以降、日本政府はAIの適切な利活用とイノベーションを両立させるためのルール整備を急ピッチで進めています。

生成AIがビジネスに不可欠なツールとなる一方で、「学習データに自社の著作物が無断で使われているのではないか」「出力された情報が信頼できるのか」といった、知的財産権や透明性に関する懸念の声が高まっていました。

そこで政府は、イノベーションの火を消さないようガチガチの法律で縛るのではなく、企業が自主的に取り組むべき基本原則を示すことで、社会全体のAIへの信頼性を高めようとしています。今年3月に総務省と経済産業省から改定公表された「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」の流れを汲み、今回のプリンシプル・コードが策定されました。

プリンシプル・コードの策定背景や、中小企業が今すぐ取り組むべき具体的な社内対策については、過去記事経産省・内閣府が進める新AIルール「プリンシプル・コード」とは?中小企業が今すぐやるべき対策で詳しく解説しています。

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ポイント解説

今回のプリンシプル・コードで、中小企業経営者が押さえておくべきポイントは以下の3つです。

1. 自社開発していなくても「提供者」になる

最も注意したいのは対象企業の広さです。自社でゼロからAIを開発(学習・構築)していなくても、既存のAI(APIなど)を自社のシステムやサービスに組み込んで顧客に提供している場合、ルール上は「生成AI提供者」に分類されます。つまり、既存のAIを活用して便利なサービスを作っている多くの中小企業が対象に含まれることになります。

2. 「守る」か「説明する」かを選べる柔軟な制度

本コードは「コンプライ・オア・エクスプレイン」という方式をとっています。これは、示された原則をすべて完璧に守らなければならないというものではありません。もし「他社との秘密保持契約がある」「ビジネスの根幹に関わるノウハウである」などの理由で守れない項目があれば、自社のウェブサイト等で「なぜ実施できないのか」を堂々と説明すればよい、という仕組みです。

3. 透明性の確保と知財保護の取り組み

原則を実施する場合、企業には以下のような対応が求められます。

  • 概要の公開AIモデルの名称やバージョン、学習データの収集方法などを自社サイト等で公開し、誰でも見られるようにする。
  • 知財への配慮:ウェブサイト側の「データ収集拒否(robots.txtなど)」の意思表示を尊重し、海賊版サイトからの学習を防ぐ措置をとる。
  • 照会への対応:著作権者などから「特定のデータが学習に使われているか」と問い合わせがあった場合、一定の条件(目的外不使用の誓約など)を満たせば回答する手順を整える。

企業への影響

直接的な罰則がないからといって、対応を後回しにするのは危険です。中小企業は以下の具体的なアクションを取る必要があります。

自社の立ち位置を確認し、体制を整える

まずは、自社がAIをサービスに組み込む「提供者」なのか、単に業務で使うだけの「利用者」なのかを整理しましょう。

「提供者」であれば、プリンシプル・コードに基づき、対応できる項目とできない項目を整理し、自社サイトで「受入れ表明」と実施状況(または実施しない理由)を公表します。あわせて、内閣府所定の様式で事務局へ届け出を行います。

また、重要な意思決定にAIを使う場合は、最終的に人間がチェックする仕組み(Human-in-the-Loop)を業務フローに組み込むことも重要です。

社内ルールの策定(利用者の場合)

自社は「利用者」に過ぎないという場合でも、従業員が独自の判断で非公式なAIを使う「シャドーAI」は、情報漏洩や著作権侵害のリスクを孕んでいます。経済産業省などが提供している「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」の「別添7ワークシート(Excel)」などを活用し、入力してはいけない情報などの社内ルールを明文化し、従業員に周知徹底しましょう。

最大のリスクは「取引先からの信頼低下」

現在、大企業や官公庁を中心に、取引先に対して「AIガバナンス体制」を求める動きが急増しています。対応を怠ると、セキュリティ監査やコンプライアンス審査を通過できず、既存の取引先から契約を切られたり、新規の入札に参加できなくなったりする「サプライチェーンからの排除リスク」につながる恐れがあります。

また、AIを利用した成果物の取り扱いや具体的な品質管理ルールについては、過去記事【IT・Web制作会社向け】AI納品物の「見えない透かし」リスクと品質管理の実践ルールも参考になります。

今後の見通し

今後、BtoB取引や公的調達において、政府のAIガイドラインやプリンシプル・コードへの準拠は「事実上の必須条件(スタンダード)」になっていくと予想されます。

法律による厳しい罰則がない今の時期は、むしろ中小企業にとって「自社のコンプライアンス体制をアピールし、他社に差をつけるチャンス」でもあります。AIを安全かつ積極的に活用する企業として市場の信頼を勝ち取るために、まずは自社のAI利用状況の棚卸しと、簡単な社内ルールの策定から始めてみてはいかがでしょうか。

情報元

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