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Deep Research2026年8月27日

【中小企業向け】生成AI事業者向け「プリンシプル・コード」対応解説記事リサーチプラン

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エグゼクティブサマリー

日本政府は、2025年9月1日に全面施行された「AI推進法」に基づき、AIの適切な利活用とイノベーションを推進しています。2026年には「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」や「プリンシプル・コード」が公表され、自社でAIを開発していなくても、他社AIを自社サービスに組み込む中小企業は「提供者」として明確にルール適用の対象となりました。本レポートでは、直接的な罰則はないものの、サプライチェーンからの排除や既存法令違反などの重大なビジネスリスクを回避し、市場の信頼を勝ち取るために中小企業経営者が直ちに講じるべき実践的な対応策を解説します。

1. 中小企業への影響(どの企業が対象か)

2025年9月1日に全面施行された「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和7年法律第53号、以下「AI推進法」)」を契機に、政府はAIガバナンスの整備を加速させています。

中小企業経営者が最も留意すべき点は、自社でAIモデル自体を開発(学習・構築)していなくても、既存のAI技術(API等)を自社のアプリケーション、製品、既存のシステム、ビジネスプロセス等に組み込んで提供する場合は、政府ルールの適用対象となることです。

2026年8月25日(一部資料では26日)に内閣府が公表した「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード」では、対象となる「生成AI提供者」の定義に、他社AIを組み込む企業が明示されています。また、総務省と経済産業省が2026年3月31日に改定公表した「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」においても、AI組み込み企業は「提供者」に分類されます。

さらに、自律的な処理を行うAIエージェントの活用時等においては、重要な意思決定プロセスに「人間の判断の介在(Human-in-the-Loop)」を組み込む体制整備が求められるなど、中小企業であっても相応のガバナンス構築が期待されています。なお、日本向けにサービスを展開する海外企業も等しく対象となります。

2. 具体的な内容・要件(何が定められているか)

内閣府が公表した「プリンシプル・コード」は、細かい手順を法律で一律に縛るのではなく、守るべき大まかな基本原則を示し、各社の自主的な取り組みを促す行動規範です。本コードでは、「コンプライ・オア・エクスプレイン(遵守するか、さもなくば説明せよ)」という方式が採用されています。これは、原則を「守る」か、営業秘密などの理由で守らない場合は「その理由を説明する」かを選択し、対応状況を自ら開示することで説明責任を果たす仕組みです。

企業に求められる具体的な要件は以下の通りです。

  • 概要公開(原則1):AIモデルの名称やバージョン、学習に使ったデータの種類や収集方法、知財保護の取り組み状況などを、自社サイト等で誰でも閲覧できるように公開します。
  • 知財保護と収集ルール:データ収集を拒否する意思表示(robots.txt)や有料壁(ペイウォール)を尊重し、海賊版サイトからの無断学習を回避します。また、AI生成物であることを示す電子透かし(C2PA等)などの出所来歴証明技術を導入する措置を講じます。
  • 個別照会への対応(原則2・3):無断学習を疑う権利者や、権利侵害を懸念する利用者から「特定のURLが学習データに含まれているか」と照会された場合、双方向の透明性確保の観点から、一定の条件下で回答することが求められます。
  • 3. 具体的な対応方法(何をすべきか)

    AI推進法第13条などの趣旨を踏まえ、中小企業は実務において以下の具体的なアクションを取る必要があります。

  • 原則を実施する場合の手続き:自社サービスに生成AIを組み込み提供する事業者は、コーポレートサイト等で「コード受入れ表明」と「各原則の実施事項」を公表し、内閣府所定の様式で事務局へ届け出ます。公表内容は毎年見直し、更新時にも再公表します。
  • 実施しない場合(エクスプレイン)の対応:実施できない原則がある場合は、「第三者との契約上の秘密保持義務があるため」や「ビジネスの根幹に関わるため開示不可」といった具体的な理由を自社サイトに明記して公表・届出を行います。
  • 権利者からの照会への対応手順:権利者から学習データの照会があった場合、無条件に回答するわけではありません。相手方が①該当性の理由、②目的外不使用の誓約、③特定URL等の対照情報を提示したことを確認した上で含有の有無を回答し、その対応記録を保存する実務フローを構築します。
  • AI利用者としての対応:自社サービスに組み込まず、単に他社製AIを業務利用するだけの中小企業は、経済産業省等の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」にある「別添7ワークシート(Excel)」を活用します。作成者・確認者・責任者を明確に定め、入力禁止情報などの社内ポリシーを策定し、従業員へ周知徹底することが求められます。
  • 4. 罰則・リスク(違反した場合どうなるか)

    日本政府のAI政策は、イノベーションを阻害しないよう「罰則なし」の推進型アプローチ(非拘束的なソフトロー)を採っています。AI推進法(特に第7条「活用事業者の責務」等)や、ガイドライン第1.2版、プリンシプル・コードのいずれにも、直接的な法的罰則は設けられていません。

    しかし、AI特有の罰則がないからといってリスクがないわけではありません。従業員が独自の判断で非公式なAIを利用する「シャドーAI」などにより、既存の個人情報保護法や著作権法に抵触した場合は、既存法令違反による直接的な罰則や損害賠償請求のリスクを企業が負うことになります。

    また、社会的な関心が高まる中、知財保護や透明性確保への対応を怠ることで、企業としての信頼失墜(レピュテーションリスク)を招くなど、ビジネス上の深刻な実質的リスクを伴う点に注意が必要です。

    5. BtoB取引およびサプライチェーンへの影響

    直接的な罰則以上に中小企業経営者が警戒すべきなのが、BtoB取引や公的調達における実質的な排除リスクです。

    近年、顧客や取引先企業はコンプライアンスを厳格化しており、取引先に対して「AIガバナンス体制の説明責任」を求める場面が急増しています。調達要件(RFP)の確認やセキュリティ監査において、政府のガイドラインやプリンシプル・コードへの準拠状況が問われるようになっています。

    これらに未対応の場合、コンプライアンス審査を満たせず、既存のサプライチェーンから排除される、あるいは新規取引の機会を失うという事業継続に関わる重大な不利益が生じます。さらに、政府や自治体の公的調達においても、AIガイドラインへの準拠が事実上の入札・審査基準として定着しつつあり、未対応企業は公共事業への参入が極めて困難になります。罰則の有無に関わらず、市場の規律を通じた実質的な対応が不可避となっています。

    まとめ:中小企業が今すぐ取るべきアクション

  • 自社の立ち位置の確認と体制構築:自社が他社AIを組み込んだサービスを提供する「提供者」か、単なる「利用者」かを把握し、AI推進法やガイドライン第1.2版に準拠した社内管理体制(人間の判断の介在の仕組み等)を構築する。
  • コンプライ・オア・エクスプレインの実践:「提供者」に該当する場合、プリンシプル・コードに基づく「概要公開」や「知財保護措置」を実施し、対応できない事項は具体的な理由を自社サイトで説明・届出を行う。
  • 社内ポリシーの策定と周知:「利用者」であっても、公式の「別添7ワークシート(Excel)」を活用して入力禁止情報などのルールを明文化し、シャドーAIによる既存法令違反やサプライチェーンからの排除リスクを防ぐ。
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